【開催レポート】 FCP コンサルテーションデイ(2021年7月)

フォスタリングチェンジ・ジャパン(事務局:無憂樹)は、フォスタリングチェンジ・プログラム(以下FCP)のファシリテーターの方々が、FCP開発者であるキャシー・ブラッケビイ氏(Kathy Blackeby)とキャロライン・ベンゴ氏(Caroline Bengo)から、実践に関するコンサルテーションを受ける機会として、コンサルテーションデイを開催しています。

2018年までは、年に1回キャシー・キャロライン両氏を日本に招いて開催してきましたが、2019年3月には、開催直前に新型コロナウイルスの感染拡大により、開催を見送らざるを得ない事態となりました。コロナ終息の見通しがたたない中で、FCPの手法のみならず、その背景にある理念や思想を含めて、開発者自身からのコンサルテーションで得られる豊かな学びの機会をなんとか実現できないかと思案し、今回、初めてオンラインでの開催を決定いたしました。

2年半ぶりの開催となる今回のコンサルテーションデイには、日本全国から43名のファシリテーターの方々が参加されました。

Zoomの画面上にたくさんのファシリテーターの方々のお顔と、キャシー・キャロライン両氏のお顔が並び、「久しぶりです!」という声や、最近ファシリテーターになられた方々からは、「ようやく(オンラインで)お会いできました!」という声が聞こえてくるようでした。

今回のコンサルテーションデイでは、FCP通常版と、FCP思春期版(12+)について、それぞれの実践についてフォスタリング機関から発表していただき、キャシー氏・キャロライン氏からコメントや助言をいただきました。

Zoomで参加した講師のキャシー・ブラッケビイ氏(左)とキャロライン・ベンゴ氏(右)

FCP通常版については、北海道の児童養護施設 興正学園(社会福祉法人常徳会)の小野実佐さんから発表をいただきました。キャシー氏からは、コロナ禍で家庭訪問での質問項目を工夫されたことなどを例にあげ、とても丁寧な準備をしたことにより、とても高いレベルでの実践ができていると、絶賛の第一声がありました。また、ファシリテーターが、子どもの変化だけでなく、里親さんの変化に目を向けながら気づきを得ていたこともとても素晴らしい、と話されていました。キャロライン氏からも、様々な里親さんが参加されたことにより、より丁寧な準備が必要となったが、多様性の中で参加者の気づきが多く深いものになったのだろうというコメントがありました。

FCP思春期版(以下12+)の実践は、東京の二葉乳児院(社会福祉法人 二葉保育園 )の長田淳子さんが発表されました。二葉乳児院では、過去に3回のFCP通常版を実施していますが、12+は昨年度初めての実施となり、初回ならではの大変さ、そして感じた手ごたえが伝わってきました。キャロライン氏は、12+を行うのは、普通の時期であっても大きな挑戦である中で、コロナ禍で初めて実践をしたというチャレンジは、尊敬に値するとコメントされました。また、キャシー氏は、標準版と比べても12+は難しいプログラムであり、その難しさを理解してくれたこと自体が素晴らしいし、その難易度の高いプログラムを、高いファシリテーションスキルで実践されていた、と語りました。特に、里親さんたちのアイディアを尊重し、応援したファシリテーターの姿勢が、里親さんのエンパワメントにつながる大事なあり方であると、称賛されていました。

また、上述の2つの機関に加え、事前に参加者のファシリテーターの皆さんからいただいた質問をキャシー・キャロライン両氏に投げかける時間をもうけました。スキルの実践になかなか前向きに取り組めない里親さんへの対応についての相談に対しては、キャシーから、「FCPに参加してみるということ自体が、里親さんが前向きに挑戦しているという証拠であり、それ自体が素晴らしい。まずはそれを認めてあげること、そして、どんなにネガティブな感情があったとしても、それを聴いて受けとめることが大事。」といったアドバイスがされました。また、FCPで学んだスキルを実践してもすぐに効果が出ない里親さんに対しては、子どもによって効果が出るまでの時間も様々なため、諦めずに試し続けるよう、ファシリテーターが励まし続けることが大事、という助言もありました。同時に、FCPのグループの中だけでは、対応に限界がある場合もあることも触れられ、場合によっては、グループの外で、里親さんと個別の対話をしながら寄り添うことの重要性も語られました。

キャシー氏・キャロライン氏の一つ一つのコメントに、FCPの理念がじんわり表れており、改めてFCPの意義を感じる時間になりました。

参加された皆さんからも、事後アンケートでたくさんのポジティブなコメントをいただきましたので、一部を紹介いたします。

  • みなさんの実践をうかがって励まされました。また、キャシーとキャロラインのことばひとつひとつがとてもあたたかく肯定的で、私もファシリテーターとして里親さんへキャシーとキャロラインのような言葉かけをできるようにしたいです。
  • キャロラインとキャッシー、それぞれのコメントを聞き、養成講座でのお二人の温かい雰囲気を思い出しました。また、FCPの基本的な価値と信念について再確認できました。
  • キャシーとキャロラインから温かいメッセージをいただき、やる気のパワーをもらえました。不安な中、FCPを進めていましたが、他県も同じように取り組んでいること、自分たちのやり方も間違っていなかったということが分かり、少しほっとしました。
  • 実践をこの秋に控えて、皆さんがどのようなことで困っていらっしゃるのか聞くことができて良かったです。基本は里親の話を聞くことに尽きる、という視点は、FCPだけでなく普段の里親支援にも必要な、基本に立ち返る視点で、気付かされることが多かったです。
  • 初めての参加でドキドキワクワクでした。想像以上に素晴らしいコンサルテーションデイで、私たちも今後開催予定ですので、是非、参考にしていきたいと強く感じました。

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